2008年10月16日木曜日

のせどん

 母の里は麓集落。麓集落とは地方の半農半士といわれた武士集団が住まいしていたところ。その集落の国道沿いの四つ角、停留所のところにあったのが「のせどん」と呼ばれる和菓子屋さんだった。盆と正月はおばあちゃんのところに「ごっそ(ご馳走)」にお呼ばれして、夜このお店の前で帰るバスを待っていたものだ。今では本業が粉屋さん。小城製粉(こじょうせいふん)という。地元では「のせどん」は誰からも親しまれている。ただのお菓子屋さんではなくて粉からこだわる、嵩じて粉屋を始め、製粉業に転じた。

 もう30年ぐらい前になるのか、まだ小さな会社だったが夢を聞いた。ずんぐりむっくりした専務(当時)さんだった。品質の追求、そして当時からこぎれいな管理、食品加工の基本のキのできた企業、工場であった。だから決して価格で安くはなかったが、安心と信頼でむしろ大きくなった。次々に街の和菓子屋さんが廃業していったなかで、生き残っているどころか、この間、素敵なお店をリニューアルオープンした。「かるかん」、「いこもち」などは郷土のお菓子。これを伝統的タイプに則ってつくれる、また創作も取り入れている。私はわざわざ足を延ばしてここで買う。人にも贈る。ただ息子にいわせると「重い」という。たしかに今はライトでむしろ包装やお店のイメージコンセプトでチェーン化したところが、勢いがあるようだが、いまひとつ納得いかない。なにかが違う。
 機会があればこのお店を訪れてほしい、また小城製粉のつくる製品(米からつくるものが多い)に注目してほしい。日本の片隅にこだわって何十年、地元密着型の中小企業がある。

1 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

おはようございます♪
最終的に、支持されつづけるのはそういったお店なんですね・・・
読んでいてほっとしました♪