2008年10月8日水曜日

なんだったのだ


 安い、簡単便利の方針は降ろしていない。

 中国産は「売れない」から企画ができない。あの事件の前に契約したり、起用したりした中国産製品は引き取れないか、不良在庫化している。
 「売れるから」国産にシフトにし直した。猫なで声で国内の産地や製造者を囲い込みに入っている。いまさら恥ずかしさもなにもない。中国産でさえなければよいから、台湾産やタイ産、ベトナム産にも替えている。こんなこと本質的な取り組みでもなんでもない。

 春までの、値上げ要請を蹴飛ばしてきたあの威勢はない。手に入らなくなるからだ。だが「安く」なければ売れない巨大組織をつくってしまったから、目先を変えるように、例えば400gを300gに、8個入りを6個入りにどんどん替えている(そのこと自体は結構だが)。もはやその手の提案は慣れっこになって大手を振ってまかり通る。今度は実質値上げの躊躇、恥じらいもない。あのときカメラの前で頭を下げた幹部が目標として行き着いた先、仕入先はあこがれの「一流企業」「大企業」。

 生き残り戦略として組織合体、その成果として低価格路線、その手段としての海外(中国)加工になんのためらいもなくシフトしてきた。低コスト(低賃金)でなお且つ細かく難しい加工を求めてきた。その工場のその工程室(「車間」という)だけは明るく清潔だった。が、その工場を一歩出るとどんな状態であるかということには目を塞いできた。中国の「○○集団」を率いる経営者たちがどれほどの志や見識も持っていないことも見抜かずにきた。米国式や国際的なHACCEPやISOが取得され通じればそれでよかった。なんといっても驚くほどの安さと加工度が、現地で一貫して作れば実現するという魅力にとり付かれた。冷凍食品はその好例。60%以上の値入率が可能であった。経営を維持できる、赤字を押し返せる、事業連合をつくった成果を具体的に表現できる。ひたすらそういうことだった。この事態でまじめに取り組んできた中国のパートーナーすら庇うこともできないご都合主義に陥っている。

 一例が西のある我社グループ事業連合のやっていること。さつまいもの加工品(おさつ棒、大学芋の類)を地元が産地でありながら、生産者と加工屋さんを捨て安くてボリュームがあるからといって中国産にシフトしていた。が、全く売れなくなった。つまり消費者に見捨てられた。いまさら、国産の加工品の仕入れに加わらせてくれと言ってきているという。情けない。保身と目先の成果だけを追及してきた。

 虚勢を張ろうとも、物流を実質めぐんでもらい、商品までひろってもらう。やがて名実ともに我社の傘下に入るだろう。なんだったのだ。

1 件のコメント:

ブナガヤ さんのコメント...

実に読みごたえのある記事でした。まさに拍手です。
メラミン問題は巨大な衝撃を日本の食品市場に与えているようです。御社も「安くて良いもの」ということの本質的な矛盾にようやく気がつき始めたのでしょうか。いや、それも冷厳な余情半様の報告によると怪しいもの。巨大組織は簡単に舵が切れません。タイタニックのようなものです。もう既に毒餃子事件で船腹が切り裂かれているのに、気がつかないのは船員だけなのでしょうか。

それにしても、この記事には誰にも書けない現場のリアリズムを感じます。奇麗事ではない迫力があります。表面づらの彌縫策である組織合体、量目減らし、近代化の指標のようなHACCPなどに眼を曇らされぬ余情半さんの眼には脱帽します。

さつま芋のことは、よ~く分かります。うちの地域も他人ごとではないのです。

このような人が流通にひとりでもいる限り、私たち農民もそうそう簡単に失望はしないでしょう。「志と見識」・・・こんな言葉を流通の現場から聞けたことに素朴に感動しています。

この記事を私のブログでも引用させて下さい。