2009年5月10日日曜日

堤をも壊す


実家は数年前に取り壊した。そして更地にして売り払った。母が健常だったらできなかっただろう。人が住まぬに等しい町になっていた。父母が築いた戦後の財産は二束三文だった。

老いた母が住んでいたころ、畳の間はふかふかだった。白蟻にやられていた。母は駆除をしたというが、そんなだった。とくに暖かい地方では被害に遭うらしい。防除はするものだということを最近再び聞いた。

蟻を駆除している。駆除剤を撒き虐殺している。外壁の下に巣を作った、前にも駆除したが同じところに復活した。すごい。

今度はハイビスカスの鉢を上げたら、わんさかと蟻が出てきた。動転して、また蟻の虐殺を始めた。ホームセンターで求めた蟻専用の駆除剤は大容量だと考えていたら、不本意ながら使う機会が増えた。

ありのままに、自然との共生と思いながら、こういうことをやっている。

「ハカラメ」と言っていた。小笠原には普通に樹木として生育している。亜熱帯の植物で、寒さにはめっぽう弱い。はるばるいただいてきて、鉢で育てて22年になる。葉から芽が出て増殖する。すごい生命力だ。だから「葉から芽」。沖縄でも売っていたように思うが、私は「おがちゃん」と呼んでいる。ところが、昨年から葉が黒くなり、弱り始めた。最近よく観たらダニのような虫がびっしりついていた。これも駆除剤、要するに農薬だろうがホームセンターで求めていたものを使用したら、たちどころに駆除できた。気温が上がり新しい葉が育ち始めた。

農薬、なんと有用な!実感だ。おいそれとは「無農薬がいい」とはとても言えない。

立ち向かえば蟷螂の斧かなと考える。
ならば、蟻の一穴。おおきな堤をいかに崩してやろうかと考える。
浪費でしかない「大量消費」という堅固な堤のことだ。

組織の「生き残り方針」というものに、はかなく“駆除”されるだろうか。因果応報。

「おがちゃん」は元気になってよかった。

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