2008年9月14日日曜日

久米島のモズク(天然)

 叔母さんは女子師範に進みながらひめゆり部隊で亡くなられたそうだ。両親がそれぞれの苗字を組み合わせて新しい姓をつくったという進歩的な家庭だったことが窺える。だから琉球でも珍しい姓だという。得意先の元専務は久米島のご出身だった。

 久米島は沖縄本島のはるか西方にある離島。中国からみたら蓬莱島にも見えたのだろうか、島の名前はどういう由来なのだろう。久米島絣があってネクタイを買い求めた。決して安くはないものだったが、ノーネクタイになって締める機会がない。

 島の東側はきれいな白洲がつづき美しい観光地だ。ちょうどその裏側を東へもっといくと、そのあたりにモズクが自生する海域がある。昔から伝えられてきた場所。4月ぐらいが収穫期でまとめてとれる大きな産地だ。天然だから毎年どれだけ採れるかはわからない。

 春には楽天イーグルスがキャンプを張る。
日本航空はリストラでホテル経営を撤退したらしい。地元の財閥と呼ばれる人が経営を継いでいた。この人は海ぶどうの養殖も手掛けていた。

 久米島も恩納村漁協の技術と指導をルーツとしてモズク養殖の有力産地になった。みんな熱心で漁協の構成員も若いひとが大勢いる。

 ようやく、個配で企画が採用されて利用できてよかった。早速注文して味わってみればそれなりに太めの食感があって個性的だ。おもしろい商品ができたと思う。

 ただし「天然だからいい」と思わせる企画は困る。とくにお江戸は大消費地だ。天然志向で「安定供給」を追求されると産地は刹那の繁栄に目がくらみかねない。そうすれば漁場はつぶれる、獲りすぎだ。獲り尽くしてしまうこと、この愚を世界中でやった。かっさらっていけば、そこには何も残らない。
 
 環境と調和して持続性が可能な養殖技術がモズクでは確立している、いやモズク養殖は海の環境を保持しなければ成り立たない。天然は少なく希少だ、その生息地のある環境を‘まるごと守ること’、このことと連動する企画の立場が必要。「美しい海、貴重な天然もの」という上手なコピーの商業主義ではだめだ。「たまに食べられるぐらい」がちょうどいい。
 提案をしたい。高く買うこと、高く売ることを。産地と共に生きていくという哲学があり、適正な量を引き受け、高く買い高く売ることができれば、産地は信頼する。理想を言うようだが、資源を次の世代に残すにはこのシンプルな方法しかない。

 「バングラディッシュの天然のえび、タイで加工しました。」の企画もある。天然だからいい、(且つ中国加工ではない)、という風に受け取れる。その裏側を、仕入れ担当はよく覗いてみてほしい。商品部はよく考えてほしいと願う。バングラディッシュの海と、タイの加工業になにが起きているのか。

 「安くて簡単便利」このコピーが溢れている。
ひとを批判しながら、自分のところでもそれがみられるといけない。

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