2010年1月6日水曜日

骨のある取材

 花伝社という出版社は果敢におもしろい本を出しています。日本の交通事故の死者は昨年5千人をようやく切りました、一方で自殺者は毎年3万人を超えています。それがずっと続いています。そして、そのうちの100人ぐらいが自衛隊員です。とくに97年以降増加しているということを『自衛隊員が死んでいく』(08年5月)という著書のなかで三宅勝久さんは取材を通じて述べています。「真空地帯」「人間の条件」「戦争と人間」などの映画(や原作)を通じてなど、旧軍の軍隊内における兵士にたいする陰惨な暴力・リンチが描かれていますが、このようなことが形を変えて自衛隊の中にも体質がつながっているのではないかと指摘しています。聖域化されている約5兆円もの予算を使い、25万人余りの武装組織で何が起きているのか。心身ともに鍛えられている建前の自衛隊員とは裏腹の、悲鳴にも似た氷山の一角であろう自衛隊員の姿、閉ざされた空間・密室で何が起きているのか。自殺へと追い詰められた隊員は「炭鉱のカナリヤ」ではないかと警鐘を鳴らしています。
 三宅勝久さんは元新聞記者で、「債権回収屋“G”――野放しのヤミ金融」で第12回『週刊金曜日』ルポルタージュ大賞優秀賞をとっています(ちなみに最新の第20回(09年9月)審査員特別賞は藤井孝良さんの 「マハラバの息吹―もうひとつの1960年代―」です)。骨のある取材を続けています。

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