2009年8月11日火曜日

「戦友」かな


 私はSさんやK女史のことを勝手に「戦友」だと思っている。ご迷惑かもしれない。

 20数年前のたった1年間だったが、一緒にお仕事をさせていただいた。お二人はお取引先という関係だった。Sさんはデザイナーで、Kさんはコピーライター。日用品以外の家庭雑貨の特別企画品、「特企品(とっきひん)」と呼んでいたが、この企画を立てて毎週商品を選び、専用のカタログを毎週制作する仕事を、皆で組んでこなしていた。Sさんは職場に常駐、Kさんは新幹線で通ってきていた。私が独り善がりでずいぶん無理を強要したはずだから、閉口され恨まれたに違いない。汗顔の極みだ。業績が悪くなったのを引き継いで「再建」めいた気負いがあって、過密で長時間の労働に耐えた。お二人にはそれ以上につきあってもらった。それでも、創り上げていくやりがいがあって、結果について一緒に一喜一憂していただいた。嵐のように引き回して、翌年転勤してしまったのは想定外だった。

 年上のSさんはその後結婚した。奥さんにもお子さんにも未だに会ったことはないが、毎年年賀状をいただき家族写真を拝見していた。誰でも子どもが小さいときは家族写真を年賀状に使い、大きくなればいつしかやめてしまう。奥さんが律儀な人らしく盆暮れの挨拶をいただく。

 ちょうど1週間前のことだ。トンデンファームのウィンナー類が届いたので何年かぶりにお礼の電話をかけてみた。はずかしいので、今まであまりしたことがない。いつか、Sさんはイガグリ頭になっていましたよとKさんから聞いていた。人のことはいえない。頭のなかにあるのは、いつまでも、長くて厚い髪とりっぱな口髭でGパン姿だ。久しぶりに聞く声は昔の通りだった。

 独立してデザイン会社やっているのだからホームページはあるのかと訊いたら、そんなものはないという。メールアドレスはと訊いたら、あると言って初めてメールをいただいた。人柄の穏やかな人だ。娘さんがもう短大生で就活だという。

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