2008年12月6日土曜日

なんとかしなければ


日本は世界でも水産資源に恵まれた国です。

 例えば鮭も22万トンほど獲れて、かつては10万トンほどを余らせていました。一方ではその10万トン余りを輸入していました。鮭の種類(紅鮭など、今では養殖魚)が違うので嗜好という意味では仕方のないことですが、過剰な輸入の一方で、未利用国内資源を発生させていました。簡単にいえば獲る一方で、世界から食料を持ってきて食い散らかしていました。その常に繰り越し在庫になる国内鮭(秋鮭)を10年近く前から中国に輸出して販路を広げる努力をしました。当初はそれが加工されて日本に還流される仕組みでしたが、そうこうしているうちに中国自身で他国への加工輸出用の原料になるようになって、むしろ国内流通する値段より高く買ってもらえるようになったのが数年前からです。複雑なのはそのことによって今度は国内の加工屋さんの原料代が高くなって経営を圧迫する廃業に追い込むという現象が発生するようになりました。

 日本のりんごがそうであるように台湾のひと(中国人)にとっては日本のさんまもよく好まれる食材だったと昔研修で訪れて実感したものでした。韓国船や中国船、台湾船が三陸沖でさんまを獲っているという話はきいたことがあります。さんまは今のところ豊漁ですので中国へ販路を求めたのも無理のないことです。ただこれも鮭とまったく同じ構造です。中国へ輸出して加工されて日本へ還流する。ギョーザ事件が起きるまでは鮭もサンマもさばも止められない動きでした。メイド・イン・チャイナの食品が忌避されるようになって、今は恐らく「仕掛品」つまり加工途中原料になって還流するようになると考えます。日本で少しだけ手を加えてメイド・イン・ジャパンになるのではないかと考えられます。
 数年前に訪れた中国では沿岸部ですが日本料理店が結構流行っていました。さて、さんまはどうやって中国のひとびとに食べられるのでしょうかね。

 おコメを食べなくなりましたから、これほど獲れている魚を今の日本人は食べ切ることができません。自給できる資源を活かせないのです。中国に輸出でもしなければ捌けない、お金にならないのではないでしょうか。スーパーでは一尾59円ぐらいの「サンマの開き」もみかけます。国内資源である秋鮭、秋刀魚を輸出する一方で世界中から鳥肉、豚肉、牛肉、養殖鮭の輸入をして、その挙句食べ散らかして廃棄する。そんなチグハグな社会です。

 各地の港で起きていること、三陸の牡蠣、和歌山の太刀魚、道東の鮭などが国内ですら「買い負け」が始まっていると聞くことがあります。為替が動きますので一過性のことかどうかわからないのですが。少なくとも自給できるのに「食べない」、ときには「高くて食べられない」この国の食の右往左往を感じます。

 さて、今まさに数万人の人が職を奪われ住むところを追い出されようとしています。野党もみな集会に駆けつけた、あの連合でさえ動いた、よかった。集会はまだ数千人です。
昨日今日できたユニオン(労働組合)のビラを、会社が見ている前で受け取る労働者の姿をニュース画面で見ました。正規職員の組合は動かない。明日はわが身です。ふた昔前なら反合理化、反首切り闘争で社会は騒然としたろうに、です。処遇に不満で退職、失業した年上のHさん言う「バラマキでもなんでも12,000円はほしい」「田母神は正論だ」と。むかし、勉強したことのある満州事変1930年代初めのときの「気分」を感じます。
 私には弁舌もなく、ひとを動かす力もありません。勇敢なわけでもありません。ただ歩くことができる。シュプレヒコールに唱和することができるだけです。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

おはようございます♪
私はいつも、新聞やテレビで得る情報なので、点でしかありません。
でも、必ず理由や背景、歴史があるんですね・・・
ちなみにテレビでは太刀魚料理を秋刀魚に変えて提案していました♪

匿名 さんのコメント...

非常によくわかるテーマです。生産者としては痛いくらい分かります。作りながら、捨てて、その数十倍を輸入するおかしさ。まっとうな自国の資源を使い切りもせずに、輸入する構造。

ところで、私は骨絡みのような労働組合に対する不信感があります。私は百姓になる前のサラリーマン時代に、5期零細労組の執行委員をやってました。私がいちばん燃えたのは、非組(イヤな言葉ですな)の賄いの味噌汁を作ってくれるオバちゃんが「整理」されそうになった時です。もうひとつは、これも非組のバイトのニイちゃんがつまらないミスから「来月から来なくていいよ」と言われた時です。

前者は撤回させました。後者は条件つきで呑む結果になりました。労働組合は、同一な職場で働く、いかなる立場の人に対しても闘わなくば、職場の護民官にはなれません。

労組を踏み台にして出世を考える馬鹿者が多くて、組合は初心の「ユニオン」の心を忘れました。大変でしょうが、がんばって下さい。