2008年12月14日日曜日

スゴイ時代 2


水曜日の夜は「明るい話ではありません、つらい話です」と前置きして始まった湯浅誠さんの講演でした。30人ぐらい入ればいっぱいの地元の公民館の小さな一室で聴きました。話は、何の資料も原稿もなくて「立て板に水」、1時間半なんぞ短いと思うぐらいの中身の濃いそして「恐い」内容でした。

 経団連リーディングカンパニー(トヨタ、キャノン、ソニーなど)の「派遣切り」、「期間工中途打ち切り」がどんどん進行していく状況下での企画でした。『貧困は自己責任か』という趣旨のテーマで、半年も前から準備されていたそうですが、まさに時宜を得た内容になりました。

 労働市場(非正規)および労働市場の外側(失業保険、生活保護)での貧困の進行の実態を聴きました。

 働く貧困層=ワーキングプアのワーキングさえもが奪われようとしていることが目の前で起きている。失業保険も事実上受け取れない、生活保護も締め出そうという行政のあり方。もちろん蓄えはない。家族が支えてきたが、これがもうもたなくなってきている。

 まとめの最後では現状を「イスとりゲーム」に例えていました。10人いて8脚のイスを取り合う。座れなかった2人をとろいヤツ、しょうがないヤツとみる。ただし、もう一度やってみても誰かが必ず2人は落ちる。これはゲームだけれども、謂わばこれが現状の事態。であるならば落ちた人に注目するのではなくて、イスの数に着目しようよと。

 明日(15日)夜7:30からのNHKスペシャル「非正規労働者を守れるか」は収録してきたらしいのですが、ここに出演する湯浅さんの発言にご注目ください。また、規制緩和を推進してきた八代尚宏さんも出演しているのではないでしょうか、わかりませんが。

 本日の『朝日』では湯浅さんの著書『反貧困―「すべり台社会」からの脱出』(岩波新書)が第8回大仏次郎論壇賞に決まり特集されていました。選者たちの評は湯浅さんの講演を聞いた私たちにとってもほぼ同感するものでした。

 彼がいつも胸につけている反貧困のバッジは200円。2色あってその日の服に合わせてコーディネイトできるそうです。このキャラクターは有と無の間にある幽霊「ヒンキーくん」というそうです。無関心でいると大きくなるそうです。どうか成仏してくれと向き合い、取り組むことではないかと。ここに聴きに来るような人たちは意識的な人たちだからうなずくが、それでは世の中は1mmも動かない。伝えてほしいと。このバッジは胸につければ結構ハデ。「じつはねぇ」と伝えようよ、と。

 この企画を主催したのは元市会議員の秋山さんのグループ。無党派で落選、「市民に絶望した」と冗談をおっしゃるとてもおしゃれな御婦人です。

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