2010年3月28日日曜日

分散移転


 お店では3カップ、生協の宅配では4連カップなどで定番になった「味付けモズク」。日配か水産売り場の人気商品だ。これの原料の主な産地は沖縄である、製品にしているのは本土のメーカーさんだが。沖縄では天然ものもあるが、主には養殖生産を産業としてつくりあげてきた。沖縄から本土へ大量に出荷できて稼げる貴重な水産資源のひとつである。原料にして2万トンぐらいを生産できて、手ごろな価格で安定的に私たちの食卓にあがるようになった。浅瀬の清浄な海で育つ、浅いとはいっても栽培は潜水作業であるから従事する漁民には体力が要求される。体力の問題もあるが、稼げて生きていけるので漁協には若き後継者が育つそういう産業だ。藻(も)であるので、海が汚れれば生産できない。一度漁場を破壊されれば元には戻せない。陸上における「開発」や自然災害などによって、赤土の流出による被害の危機を幾度も乗り越えてきた。生産者たちは幾多の困難、そして話し合い、場合によっては闘いを経験してきた。30数年のなかでこつこつとつくりあげてきたのは山陰の小さな加工業者さんたちの商品化によってである。もともと日本海側にはすぐれたモズクが産出したが採れなくなってきた。そして養殖が軌道にのりはじめてきた沖縄と結びついていった。そして今では多くの大手の日配や水産メーカーが後から参入して、例によって「価格破壊」を始めている。

 モズクの養殖技術は鹿児島水産試験場(奄美)によって開発された。これをかつて沖縄の恩納村漁協の若き幹部たちが学び、実用化に成功しこの技術を県内に公開し、そしてひろく県内各地に広まった。東シナ海側の恩納村漁協を南下し太平洋側に出たうるま市の勝連漁協はモズクの一大生産地である。与勝半島から沖合の津堅島に向かっての海は、私という人間の目からみると広大な浅瀬であり海底は珊瑚の砂地である。モズク養殖の適作地であることがわかる。かつて沖縄にも戦国時代がありこの半島にある勝連城は歴史の舞台であったところだ。そのことは知っていたが、訪れたときここがモズク養殖の有力地になっていたのは初めて知った。漁協の周りにはいくつものモズクの問屋さんが割拠していた。

 沖縄のモズクは今、原料出荷だけではなく、製品加工にも挑戦している。付加価値がつくからだ。さらに雇用も増える。設備投資、技術も必要だが、原料からの混じり物・異物の除去が実はたいへんな作業だ。努力を重ねても完全にはなりきれない、そうするとその苦情への対応も体制が必要になってきて、課題はある。その途上にあって、いずれにせよモズクは沖縄にとっても、我々消費者にとっても食卓を一品豊かにしてくれて、健康維持にもありがたいと思われる商品だ。

 勝連漁協の港から沖合に出て本島の側を振り返りみれば、鉛色の巨大な軍事施設らしきものが陸上に見える。沖縄では目新しいことではないが、やはり本土でぬくぬくと暮らしている私の眼には穏やかには見えない。沖縄の人にあれは何だと訊くのも憚れる、本土の加工業者のひとから米軍の基地施設であることを教わる。それ以上は言わない。商売に政治的話題はそぐわない。

 そして民主党政府は今回、普天間基地移転の問題を「分散移転」などと称して「案」とやらを持ち出してきた。これはまず、生命に危害のおよぶ非常に危険な普天間基地の廃止にもならない、実質存続しながら「分散」させるなどという県民や国民を愚弄する案を出してきた。そのひとつが県内「うるま市の与勝半島沖」案である。それでなくとも、この沖合は「訓練水域」という米軍に提供された現状である。名護市の辺野古と同じで、うるま市もすでに基地を提供していますからさらに新軍事基地(滑走路)もつくってあげますよという姿勢だ。

 生きていくための仕事を「生業(なりわい)」という。それを、何十年もかけて、基地の訓練水域の合間にモズク養殖の産地をつくりあげてきた。海と海の安寧と自然のままが保てなければ、漁民は生きていけない。身近な話をすれば私たちの食卓にあがるモズクの半分近くの量が壊滅する。何回、メディアのインタビューを受けても名護市の稲嶺市長は「海も陸上もだめ」だ。うるま市にもすでに嘉手納基地のための燃料貯油施設をはじめ、原子力潜水艦など多数の米艦船が入港するホワイトビーチがある。うるま市の海は基地水域が広く占める。

 県民がなんども党派を超えて、せめて危険な普天間基地を廃止してほしい、たらいまわしにしないでほしい、と何度も意思を表明している。

2 件のコメント:

ハマタヌ さんのコメント...

お見舞いありがとうございました。どうにか、食べられるようになりました。一日パン1枚とご飯を半分くらんいですが
でも、消化器系以外に異常はなく、女房どのには病人判定をいただけず、しっかりと働いておりました。ただメシ食えないんで、さすが肉体労働はきついっすね。
なんなんだろう。病院に行って即入院なんかになりたくないしなぁ。

で、普天間の件、私、怒り心頭です。ひさしぶりにデモのひとつでもしてみたい。もし民主党案どおりが実施されるなら、オレ、沖縄に行きます!冗談ではない。
やっぱり許してはいけないことは、世の中にあります。

余情 半 さんのコメント...

普天間の件そのとおりなんですがネ、ハマタヌさんは身体あってのモノダネ。健常であってこそ、いや病であっても命あってのモノダネ。無理をしないで、ハマタヌさんは発信ができるし、受け止めるひとも多いようだし、影響力その方法もあるから。つながり・連帯を草の根からつくれる。民草、ぺんぺん草にも主張ができる。4月の集会の中にもいたいけど。昔と違っていろいろな方法が、それぞれのやり方ができる。でも、街頭に出たいね。
なお、くれぐれもお大事にしてくださいな。