2011年3月9日水曜日

「本人」様


 留守をしている間にたまった新聞紙の間に宅配便の不在票が入っていた。見れば送り主は「本人」となっている。はて、まったく身に覚えがない。懸賞にでも当たったのだろうか、そうだとしても本人名義で送ってくるはずがない。もしや。

 それをようやく、月曜日の夜受け取った。兄からだった。神戸名物の「小女子の釘煮」だった。兄嫁の筆跡だ。そんな季節だった。神戸あたりから淡路島にかけて一斉に漁になる。小女子干しに加工したり、神戸あたりではこうして生炊きにしたりして釘煮をつくる。昔、仕事で見に行ったことがある。これから伊勢湾・三河湾と続き東上、北上して最後には北海道に行き着く。それは5月ごろのことだ。寿都湾でも生炊きにしてお土産物にしている。

 それにしても、苗字はいっしょだから仕方がないが、名前だって住所だって違うのに「ご本人様」とはそそっかしい配達人だ。

 ひょっとしてそうではないかとは思っていた。早速、お礼の電話を入れた。副作用ですっかり毛髪は抜けたらしい。髭剃りしなくていいよと、声だけは元気そうだった。

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