2010年12月3日金曜日

併合100年 Ⅱ


 併合とは言うが、日本が韓国を併呑して今年は100年の節目にあたる。植民地支配である。この100年を韓国・朝鮮の人の立場からみると、被植民地支配35年、祖国分断65年の歴史であり安穏な100年ではない。100年もの間、民族としては不正常な状態にある。その間に、植民地時代における土地収奪、強制連行、従軍慰安婦、解放後の同族殺しあう朝鮮戦争、南の軍事独裁による蛮行を経験し、北には金世襲支配が続く。

 祖国を離れた人々で日本・中国・ロシア・アメリカなどに在住しているコリアンは現在500万人を超えると言われている。

 姜尚中さんの著書は氏の幅広い教養のせいか引用が多く難解な印象をもっていた。『在日』(姜講談社2004年)を読み終わった。自伝的著書ということもあって平易には読める。
 「在日」というのは特異な言葉であって、我が社会では永住権を持つ韓国・朝鮮籍の人々のことを一般的には言うのだろう。決して肯定的なニュアンスではないと考えるが、当事者のひとりである姜さんの自分自身の軌跡からの「在日」の語り方だ。彼なりの(くどい言い回しに感じるのだが)、この社会と東北アジア、歴史とグローバルを語る。うまくは言えないが姜さんには熊本人の気質も感じる。そして、姜さんにはバッシングも多い。

 朝鮮戦争は終結したのではなく、53年以降の停戦状態であって、戦時態勢は解かれていない。米朝、日朝の間には国交もない。しかしながら、この間、南北国連同時加盟(1991年)、南北首脳会談(金大中・金正日/2000年6月)、日朝首脳会談(小泉首相・金正日/2002年9月)も行われ、さらには6カ国協議(2003年~)も積み重ねられてきた。

 11月23日に北朝鮮が韓国に向かって砲撃をした。翌朝のワイドショーはたちまちに反北朝鮮的内容、日米安保軍事同盟の強化の内容に彩られた。「世論」が煽動され、街頭インタビューはそう編集される。古い話だが私は毛沢東による金門島砲撃(1958年)を連想した。巷間言われるように独裁者の子と孫による政治的意図があるようには解釈する。北朝鮮の蛮行であり、擁護の余地はない。少なくとも日本政府には経緯の事実の確認は必要だと考えられる。黄海における原子力空母を含む米韓合同軍事演習は、北朝鮮の立場からみたら玄関先で出刃包丁を振り回され威嚇されているようなものだ。中国もそう思っているだろう。

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