2010年9月17日金曜日

おニュー


 今でも覚えているけれども、母親が私のために広い生地とカクイの綿を使って敷布団をつくってくれた。綿を拡げたり置いたりするのを手伝わされて見ていたけれど、実に器用につくりあげたものだ。布団って買うものだとばかり思っていたから意外だった。昔ながらのごつい布団袋に入れて数少ない引越し荷物のひとつにして故郷を離れた。そして、結婚していつか使い古してそれを捨てる時は、母にすまないような気がした。いつのことかもう覚えていない。映画『サンダカン八番娼館』でおサキさん(田中絹代さんが熱演)の身の上話にも確かそんなお母さんがつくってくれた布団の話があったような気がする。
 
 これまでの生涯、ずっとせんべい布団に寝てきた。あんまり買い換えてもこなかった。
 それが今度、生協のチラシでお揃いの敷布団を買った。通常品は高さが6cmぐらいだが、その商品は倍の12cmあるという謳い文句。中芯にはウレタンフォームを使ってあり、中ワタはウールで、日本製だ。そういうことで決めた。それで、使い始めて驚いた。大袈裟に言うと、まるでベッドに横たわったように高い感覚。サイズが100×200cmというのは広い。三つ折りにはできるのだが、一間の押入れに並べて収納できない。それはそうだ、一間180cmの押入れには2つで200cmの布団を並べて入れられない。チラシを見たら皆このサイズだ。それで、最近買う敷きカバーが前の布団ではサイズが余っていた訳がわかった。

 人間贅沢をしているようではろくな人間にはならないと、普段使いの布団もそう簡単にはおNewにしてこなかったのだけれども、取り残されていたのかな。その心地よさには世界観が変わったぐらいの思いもあるが、買ったばかりの靴のように、まだよく慣れていない。さっ、今日も寝よう。世間の三連休を尻目にあしたも仕事。

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