2009年2月24日火曜日

ケイシーのランプ

 いい映画を観ると引きずる、あとからも湧いてくる。1940年につくられたアメリカ映画「怒りの葡萄」(昨夜のBS11)。小説「蟹工船」と同じように今に通じる。タイムリーだ。

 古典的名作のひとびとの悲惨な話ははるかな昔、今に生まれてよかったね、ということではない皮肉な現実。

 ジェーン・フォンダの方は知っていたから、父親のヘンリーの目の方が彼女に似ていると思った。ヘンリー・フォンダ演じるトムはストを試みて殺された元説教師ケイシーの言葉に“ランプ”=光を見出す。そして触れてはいけないREDとはなんだと問う。

 新潮文庫「蟹工船」には「党生活者」も収録されている。実はこちらの方が今を反映している。小林多喜二は労働と貧困、団結から戦争というテーマへ進む、それが「党生活者」だ。あの時代、生半可なことではない。いくつも時代のタブーに触れた。

 車やIT家電をつくり過ぎてどれだけ売れなくなろうとも、そのために労働者を放り出し、工場を閉鎖しようとも、軍需産業のリストラの話は聞こえてこない。仕事も住処さえも無くしてしまえば、資格もとれる衣食住付きの特別国家公務員は天国にさえ見える。「兵士」が補充される仕組み、流れになってくる。ダンピングされる派遣の時給千何百円、何百円の世界が、軍需の世界では億円の単位で消費される。ケタが違う、世界が違う。このことに社会は手をつけない。

 経済の悲惨は構造的に起こる。金儲けを是とする資本主義の宿命だ。どうも暴走しただけとはいえない。様々に生起している地球的課題に対処しきれないのではないか。

 経済的悲惨の目をそらし、国々は戦争を繰り返してきた。戦争は発展しさらに大きな殺傷と悲惨を惹き起した。見てみるがいい、焼き殺され傷つけられたのは女、子ども、老人だ。ジョージ・ブッシュさんは21世紀にもアフガン、イラクなどで戦争を引きずり、多くのひとびとを不幸に陥れた。イスラエルも暴れまくり、村上春樹さんは当地で勇気をもって直言をした。「壁と卵」。

 名画も古典もまっとうに生きた人生も、勇気あるわずか15分のスピーチもひとのこころを動かす。

1 件のコメント:

ブナガヤ さんのコメント...

「怒りの葡萄」ですか!うれしい、私もつい最近またDVD(980円なり)で観て、感動を新たにしました。あの時代のスタインベックにはいくつもいい作品、特に小品があります。皆、貧しき者の立場にたった作品です。あらためてアメリカの健全な民主主義を知る思いです。

オバマさんがアフガンに深入りすることを非常に心配しています。彼はいわばアメリカ最後の希望のようなものなのに。