2013年6月22日土曜日

市民ミュージカル「ロンサムジョージ」終了

「場あたり稽古」と「ゲネプロ」の両日(13日、14日)は客席におりました。そして、本番は15日夜の公演を観ました。

 公演を終えたあの日(16日)、零時31分着の最終電車で改札を出てきたツレアイの姿を観て一瞬見間違えそうになりました。まるで「ヅカの男役」!かっこいいじゃんと(老けてるけど)。

 あのムツゴローの「感動よ、再び!」。昨年末のこと。年齢を気にしつつも、チャレンジャーとして「ツッマー」をミュージカルに送り出しました。私たちは二人暮らしです。これから半年間の土日、「オマエは『ロンサム・オットー』になるが、いいか!?」と念を押されましたが、望むところ。なんば言うとっと。こっちは煮物も味噌汁も出しからとる本格主夫「オットー」、味噌まで手づくりを始めた自立する「オットー」たい。

 本人の意気込みとは裏腹に、初めての合宿にヘルペスを発症して参加できずに出鼻をくじいたり、やっているうちにAIM仕込みのスピードと変化についていけなかったり、何度くじけそうになったことでしょう。そのたびに「やめたら~」とあらん限りの冷酷さでつぶやいてあげるのですが、これが効果抜群、オットーの言うことだけはききたくない「ツッマー」。歯を食いしばる東北魂。若いひとたちのすばらしさ、演出の個性的な感性、振り付けの斬新さの魅力を幾度聞かされたことでしょう。私は「難解さ」にも聞こえましたが、だんだん私が「門前の小僧」になって取り込まれていくのを感じました。「ジシュレン」とかナントカいう「若い人が教えてくれるの」という落ちこぼれを出さない。この配慮の行き届いた稽古の光景を思い浮かべつつ、毎週土日の孤食に耐えました。まるで前衛舞踏のような個性のある動きの表現ができて、少しは認められているらしいという不思議なハナシも聞きました。この人は「肩」が昔から特徴のひとつ。それが表現力に役だっているなんて貴女らしいではないかとおだてあげる。サルが木に登るように個性は伸ばすもの、他人様が認めてくれればホンモノ。

 残念ながら、私はリズム感が乏しく音楽も踊りもやるのはさっぱりダメ。できることといえば内助の功の真似事と、弱音の聞き役と、そう!チケットを売ることだけ。完売を聞いたときには我がことのようにうれしかったですねぇ。みんなに買ってもらったうれしさ。「おれたちにスポンサーはない」の市民ミュージカルの根性の発揮。

衣裳も自分で縫わねばならないというあたふたした困難もみなさんの手助けによってなんとか乗り越え、公演が近づくにつれ、みるみるうちにツッマーの身体が引き締まってきました。公演当日なんかは度が過ぎて痩せ衰えたんじゃないかと思えるぐらい鍛錬されたキャストになったと実感しました。もちろん緊張もあったと思います。

 さて、いよいよ本番へ。ところが、照明が完成していない段階の「ゲネプロ」を観ただけでは、素人の私には正直出来具合が雲をつかむようでした。公演当日は満席の観客。三方が観客席の独特の舞台、音楽と光の中での躍動感と表現力を見事に魅せましたね。客席との一体感も加わりました。「おお、意外じゃん、面白かった…」と社交辞令なんかこれっぽっちも言わない仕事仲間たちはそう言って帰りました。火曜日に再び会いましたら絶賛の嵐。「長いセリフがあったねぇ」と知り合いを引き連れてきてくれたご近所のママ友は感動の渦。ジム仲間は「すごかった、あんなやまげんみたことなかった」と感激をみんなに吹聴。そういうノリでしたら、私もできれば二日続けて観たいと思ったぐらいです。でも、公演二日目は息子夫婦を送り出して孫の世話をしておりました。

 あの日ああいうことで両親もいっぺんに亡くなった、いつ死ぬかわからないというのを実感。みなさんに迷惑でさえなければ、好きなことならば、足腰立つうちにやってみたら、ということで背中を押しました。今は厳しい稽古に耐え訓練を積み、歌も踊りも格段に上達した配役プエルトを内心自慢に思っています。みなさんに付いていけたというレベルかもしれませんが。

 メッセージがあって、こだわりがあって、自ら人集めもして手づくりのようにしてつくりあげた市民ミュージカルの妙味。らしさ。気概。あの実験的な劇場で舞台と空間をつくった意気込み。ライブ(生の舞台)の迫力や臨場感は、よくできた料理と一緒で、とって置くことはできず消えてしまうもの。みなさんがいっしょになってつくりあげたもの。作品。市民ミュージカルならではの「達成感」に浸られたことでしょう。

 やりとげたすべての皆さんの魅力は、リスペクトを込めて語り継がれることでしょう。
すばらしい舞台をありがとうございました。

 最後に、はるばる種子島から観に来てくれた女友達からのメッセージ(抜粋)。
「ほんとに、感動しました。若者たちのすばらしいダンスと歌声のパワーが全開。相当に訓練されたことでしょう。また、脚本が良かったですね。ダンスも、歌も、喜び、悲しみ、苦しみ、そして未来への確信といった、とてもわかりやすいテーマを見事に表現されていました。私も、ロンサムジョージに共感。『生』も、そして『死』も受け入れて、生きる覚悟があるかと、自問する生活です。」


 往年の銀幕のミュージカルのような、軽やかな「♩ゴミの山の上で愛を叫ぶ♫」をたどたどしく口ずさみながら…おやすみなさい。

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