2011年11月10日木曜日

思い立って

今は暗くなって寒くなるのはだいたい夕方の4時半ぐらいです。時計を見ましたら2時半でしたから、帰りのルートは有料道路(高速)を使うことにしました。

 甥っ子の哲ちゃんにたのんで、私の軽自動車にETCとカーナビを装着してもらったのは9月の末のことでした。その試運転をしないままに過ごしていましたので、いずれかの機会に試そうと考えていました。それには、旧神泉村訪問もいいのではないかと想定していました。

 地図でみれば我が家から北西へ秩父に進み、北へ転じて山を越えれば群馬県境すなわち旧神泉村の辺りに辿りつける。それがおもしろい、かねてよりそう考えておりました。本日はお日柄もよく、いざ思い立ちました。再会した時にいただいていた名刺の住所を登録して目的地に設定し、我が家を出発したのは朝の9時ごろでした。

 秩父まではくねくねの登り道をひたすら行きます。制限速度は40kmのはずですが、仕事の車でしょうか、みな急ぎます。追い越し禁止の道路ですので流れにのって迷惑を掛けない程度に進みますが、ハンドルを切るのが忙しくてなりません。正丸峠を越えてようやく秩父盆地に辿り着き、街中の見覚えのある秩父神社で右折して北に転じます。そこから先はカーナビ頼りでした。山道には違いありませんでしたが、もっと険しいものを想像していましたので峠を越えたらしいところで神泉村が見えたときには拍子抜けいたしました。山を降りてまいりましたら、見覚えのある交差点で、目的地はすぐその近くでした。

 日中は薄日の射す暖かい日和で助かりました。正門の手前の駐車場に停めましたのが、出発してから2時間15分後。約6、7年ぶりでしょうか、「御用蔵」と称する工場とお店が隣接する施設です。昔懐かしいお味噌の匂いが漂います。ところが、ところがです。門には「本日は閉店しました」の看板が立てかけてあります。そういえば、人影がみえません。今日は水曜日、何も確かめもせずに出てきましたので定休日かもしれません。せっかく来たのにね、と念じながら窓越しにでも覗いて行こうと考えました。確かに人気を感じなかったのですが、入り口のドアに立ちましたらなんと開きまして、店員さんもお客さんもいるではないですか。確かめましたら営業しているとのこと、また拍子抜けしたのでした。

 店内にお目当ての「べったら漬け」をすぐみつけました。「新もの」とPOPがしてあります。今度の土日は、樽から出したばかりのものを称して「生べったら漬け」として、市を開きます。その「下見に」と思い立って来てしまいました。こだわりの料理を出してくれる庵があるのですが、あいにく予約でいっぱいで1時半なら空いているとのことで、あと2時間もあります。バスで団体の人たちが来たようでした。せっかく来たのだし、つまらないところで昼食をとるよりは「こだわりの」という「御膳」を食べて帰ろうということにしました。

 近くのガソリンスタンドで給油をし、そこで三波石峡と冬桜の場所を訪ねました。冬桜は桜山公園がまだ見頃ですぐそこだというので、まずはそこに向かいました。川を渡れば群馬県です。看板が出ていて案内をしてくれるのですが、ここに向かったのが間違いでした。往復10kmもあり、しかもその名の通り山の上で、なかなかの見どころではありましたが、そこだけで時間をとられてしまい、お目当ての三波石峡には行くことができませんでした。

 予約の時間に帰り着き、ようやく「豆々菜々御膳(1,500円)」にありつけました。食材にもこだわっていますが、庵の調度品にもこだわりというか品のよさがあります。再度、お店に立ち寄り見学コースから味噌木樽を見、玄米味噌やべったら漬け、チカさんへのお土産などを求めましたらもう2時半をまわっておりました。

 下見のつもりで、ちょっと行ってすぐ帰ってくる積りでしたのに、こういう展開になってしまいました。マイカーをKカーにして私は高速に一度も乗ったことはありませんでした。関東での高速道路運転は実に久しぶりです。ETCは順調に作動いたしました。ターボエンジンのアクセルを踏み込む足の緊張と、手には汗の感触がありました。

 村の景観、味噌蔵のこと、配管の並んだ食品工場内のこと、ここの水のこと、畑のこと、山羊さんのこと、いろいろ想い出しました。指示を受けて当時スタッフとして種を撒き、今につながっています。土日には「べったら市」もありますが、それも兼ねて大豆トラストの収穫体験もあるように聞いています。

 往きは山越えのルートで2時間15分、還りは高速経由で1時間半(高速料金1000円)。思いがけず、埼玉県の北の端をぐるっと一周してきたことになりました。

 畑にお地蔵様が似合っていました…。
 そう、浅はかな思い立ち政策「TPP」でこの国の成り立ちとなりわいを滅ぼしてはならないと考えています。またしても、アメリカへの白紙委任的「開国」。「開国」ならいいではないかというおめでたさ、または無関心と他人事。我が身にふりかかるころに気付いてもあとの祭り。
 今日から「騒然!ならじ!」

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