2012年8月21日火曜日

「アマミちゃん」

20日の夕方思い立ち、左の浅鉢から右の鉢に植え替え

8年ほど前のことだと思う。奄美大島の南部、古仁屋(こにや)と加計呂麻島(かけろまじま)を訪ねた。南の島といえども、2月であれば風は冷たかった。

さとうきびでつくる酢の産地を皆で訪問したのだった。同じ鹿児島県の福山の酢(「黒酢」として有名になった)よりも、なお神秘的な酢ということで注目して出向先に取り上げてもらった。なにしろ、人工的な菌の植え付けという介添えをしないのに、さとうきびの絞り汁と山の湧き水と甕と甕の備え付け方の条件(砂地の上)によって自然に酢酸発酵する。しかも、その菌は奄美大島南部にのみ生息するらしく、他の地では自然発酵しない。仕込みから約1週間でシュワーと炭酸のような初期発酵がみられる。その様子にも出遭えた。

さとうきびから酢ができる。暑い南国で酢は島の貴重な調味料だった。そんなこんなの実態を知ろうということでみんなと一緒に訪問した。ここが南の島かと思えるほどの寒風の中、帰り支度をしてJAの出荷所のところにたむろしていたら、かわいらしい蘇鉄の苗の一群を見つけた。売り物なのだろう、一番小さな鉢に蘇鉄の実からちょっと芽吹きした程度の赤ちゃんのような苗で、持って帰るにも手ごろそうだった。買い求めたいと申し出たら、JA職員で産地案内を引き受けてくれた川谷卓三似のIさんが、よかったら持って行ってと金は受け取らず好意に甘えた。

たしか、三度目の鉢替えになるのかな、これまでの鉢から取り出してみたら根が太くいびつに縮んでいた。これまでさぞかし窮屈な思いをさせていたのだろう、悪いことをしたなと反省。やぶ蚊に刺されながら鉢替えを終えた。そのときの記念にと持ち帰って、記憶をたどってあのときのことを想い出した。

 我が家では赤ちゃんのときから育てたこの蘇鉄のことを「アマミちゃん」と愛称している。

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