2011年1月11日火曜日

種子島紀行Ⅳ

種子島窯

 ツアーの最終日は長い昼食をとったあと、西之表の焼き物のお店につれていってもらった。

 古民家をぶち抜いたようなお店を入っていくと、奥には林を越して睨下すればV字型に海が見える。海峡側の海だ。まるで気の流れがあるようだ。焼き物よりも、まずそのロケーションに魅了される。どうぞと、健康茶のようなものがふるまわれる。

 師走なのによく晴れているので島の昼間はゆったりだ。入り口を入って、平台に用途ごとに焼き物が陳列してある。ちょっと備前焼にも似た焼締めの「変わった」形の容器と、白く焼きあげて同様の形をした容器が並んでいる。棚には何やら芸術品のような焼き物が陳列してあって、なるほど値段も桁が違う。

 実用陶器にはあまり見えない。買って帰ってもどう使いこなそうかと逡巡するから、買うには迷ってしまう。でも、せっかく来たのだからどれか求めて帰ろうとやや無理な選択をしようとする、だから判断に迷う。

 二瓶さんは焼き物にあまり興味がないのか、海側の裏庭に繋がれた犬と戯れている。手作りだという別棟の登り窯を見る。当主の野口悦士さんが丁寧に説明してくださる。

 最後に一番気に入ったコーヒー碗を一客買い求める。野口さんも埼玉生まれで移住してきた人らしい。義父の窯を継いだとのこと。イケメンだ。作家さんから買ったという記念写真を所望して収める。

 実は今、この器を愛用している。つれあいのものとして買ってきたがときどき貸してもらっている。柄のない碗はまた奇妙な形をしているようにも見える。歪んでも見えるので、今度韓国のユゴンが来たら見せてやろうと思う。お店で受けた印象よりも使い心地はよかった。これなら、次に訪問したときの楽しみが増えた。次は、ながらめ、苦竹、鉄砲百合、そしてもう一客この器を求めること。
*大晦日には種子島にも雪が降ったと野口さんのブログで知った。

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