2011年1月7日金曜日

種子島紀行Ⅱ

安納芋、さつま芋

 工場見学を終えて、さあ帰ろうというときに芋が焼きあがった。その芋を試食させていただく、それがうまかった。しかも本場で出来たてを食べているのだという気分の充足感もある。丸くて小さな焼き芋だ。小江戸川越で壷焼きをウリにする焼き芋屋さんで食べたものとは明らかに違う。これが「安納芋」だ。この焼き芋は冷凍食品として商品化されている。

 今脚光を浴びていて、もてはやされているのがこの安納芋。実際に関東でも出回っているのは茨城産だ。でもれっきとしたさつま芋の一品種で種子島産だ。種子島は行政区でいえば北から西之表市、中種子町、南種子町で成り立つが、その西之表市に安納という地区が実際にある。もともと種子島に栽培されていたこの芋は、より品種改良されておいしいさつま芋になったらしい。

 うちのつれあいがかねて、安納芋は「ほくほく」していない。「ねっとり」していてそれがそうなのかと疑問に思っていた。売場にある「ほくほく」という商品コピーは間違いではないかとも。実はその指摘で正解だった。
 『調理に際しては、ゆっくりと時間をかけて加熱すると、より美味しくなる。また、掘りたての新鮮なものよりも、3週間から一ヶ月以上熟成させると、最も糖度が上がり美味しくなる。この品種の特徴は、試験場などで粘質性と呼ばれるその食感に有り、クリームのようにトロッとした食感で、在来の焼き芋らしいホクホク感は全く無い。』(WEB検索より)

 現地の人から聞いて、この芋は掘り出してから吊り下げておけばより甘さが増すものだと知った。それで軒先にこの芋を吊り下げている光景をよく目にした。ただし、それはだいたい15℃ぐらいの気候でないといけないそうで、温暖な当地ではできることであって関東ではそうはいかないようだ。種子島ではこの芋の増産と付加価値加工が始まっている。

 自ら栽培もして、加工もしている西田農産さんの集荷、加工、製造加工、貯蔵庫を初日の2番目に訪問し見学させていただいた。焼酎の原料用に様々な原料芋を加工して出荷・移出している。また、社長のアイデアらしいが、様々な工夫をされていた。芋の焼き方に関しては溶岩プレートを自ら開発しこれで焼かれた芋が焼酎の原料になるらしい。市販では確かに焼きいもを原料にした焼酎が販売されている。貯蔵庫は石蔵で川を利用して湿度を調整したつくりだ。柱や梁は地元の木を使って見た目にも美しくりっぱな蔵だ。この蔵でじっくりと貯蔵され甘く完熟される。工場で冷凍食品にする焼き芋の直焼き機には炭を使う。たまたま、冒頭に記したようにこの焼き上がりを食べさせてもらった。

 長野さんから旅の帰りしなに安納芋をおみやげにいただいてきた。この正月に娘がストーブで長い時間かけて焼き芋にした。表面に蜜が浮いてくる。あらためてその商品の特長を知り、島のことを思い浮かべながら食べるとほんとに美味いものだ。我が家は冷えるので今はおがくずの中に入れてとっている。

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