2009年9月5日土曜日

お導師様


 映画「ベン・ハー」はかなり遅れて我が町にやってきたが、ビートルズの音楽はすぐにやってきた。当時、高校生が男女ペアで映画館に入るのはまだかなりの度胸がいった。

 当時LPは3000円もしたと思うが、KO君たちは何枚も持っていた。ステレオだっていくらもしたと思う。冷静沈着で優秀なKO君は、我が国最大手の食品メーカーの執行役員になっている。

 我が町で初めてのエレキバンドが結成された(大都会に比べればずっと遅いことだが)。テケテケテケテケテッて、あれである。その中心メンバーにAさんがいた。産院のKI君もいた。Aさんはひとつ年上の幼馴染だった。家に講堂があったので練習ができたのだろう。いつか高校の文化祭で披露して女子たちにキャーと騒がれた。KI君はその後市役所に勤めたらしい。

 Aさんのところは同じ町内会だと思っていたら境目で隣の町内会だった。お焼香とAさんの読経でうっとりとした。3日も続けてあげていただいたが、実に美声だ。お経がその場面に来ると脳のどこかが癒されるのがわかる。あのころバンドのボーカルだった。お母さんは若くてきれいな人で母とも仲良しだった。Aさんは母親ゆずりの涼しい目をしていてよくもてた。あちらはバーコード頭、こちらは坊主頭になっていたが「お久しぶり」とあいさつをして、磨き上げられた読経をありがたく拝聴した。お父上の読経とはまた違う趣の癒され方、ありがたさだった。

 晩年にはすっかりイケメン好きになっていた母も成仏させてもらったことだろう。
 
 *かなたに見えるのは丸山という。母方の祖母の里の山。田んぼの中にもっこりとその名のとおり丸く盛り上がったひと目でユニークな山とわかる。旅館の窓より撮影。

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