2011年9月20日火曜日

あの日の催し物

 現役時代スケジュールは手帳に書き込んだ。仕事なら仮に忘れていても職場の中で思い出さざるをえない。プライベートなことなら、たとえ手帳に記入していてもうっかり失念することがある。それで、トイレのカレンダーに書き込んでいたり、冷蔵庫にメモを磁石で張り付けていたりした。その催し物はチラシがあって見栄えもよかったので居間の鴨居にクリップではさんでおいた。

 あの日何もなければ、定時より少し遅れて職場を出て浦和に向かったかもしれなかった。

 元プロ野球選手張本勲さんの「もう一つの人生――被爆者として人として」と題する講演会が午後7時から予定されていたからだ。

 14時46分からの激しく長い揺れは職場のビルの中(9階)で体験した。
 そうして、この列島社会が一変した。私自身も人生への思いと人生が変わった。

 あの日あの催し物はどうなったのだろうと思ったりもしたのだが、当日開催できる状態ではなかった。張本さんも印象に残ったに違いない。3・11をとにかく忘れないために、張本さんの顔写真入りのカラーチラシはずっと、今でも鴨居に挟んだままだ。

 何もなければ、この世から核兵器と差別をなくしたいという思いの話に耳を傾けていたかもしれなかった。もう取り止めになったのかなと思っていた。それがこのたび、お知らせが舞い込んできて10月7日(金)同じ題目で開催されることが判った。

 心の封印を解いて被爆体験を語り始めたという、あの日その思いを伝えたいということだった。
 核と差別と戦争、そして3・11 張本さん、あらためてどういう思いで話すのだろう。

 <埼玉革新懇 文化講演会>「張本勲 もう一つの人生--被爆者として、人として」
 日時:2011年10月7日(金)開場18:00 開演19:00
 会場:埼玉会館大ホール(JR浦和駅西口)
 チケット代:<全席自由> 一般 1999円、高校生以下 1000円

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