笑い話で済んだからいいものの、あの日邦雄さんが市場にいたら命はなかった。
邦雄さんはプロだから、魚の鮮度と品質にあわせて送ってくる。こちらの都合なんか聞かない。今回も危なかった、今日はいたからいいものの、明日からだったら居なくて受け取れなかった。初さんまだ、大きい。ご近所と息子夫婦におすそ分けする。
女川では市場から遠く離れて少し奥まったところにあって、普段は一番不利な邦雄さんの工場だけがあの巨大津波から助かった。だから、これから女川の町に水揚げされるさんまはすべて邦雄さんの工場で仕立てて、各々の仲買仲間の名前でそれぞれのお客さんに出荷する。いわば分かち合いだ。そういうことがこの前のNHKの朝のニュース(8月26日)で紹介されていた。たまたまそれをみていたら、邦雄さんもテレビに映っていた。「見たよ、感心ですね」という趣旨の電話をその日にいれたら、そうしなければ生きていけないからと照れていた。
蚊取り線香を炊いて、朝早くから床の拭き掃除。ズボンまで汗ぐっしょりになった。ソータローのご出勤に間に合う。今日は心おきなくハイハイさせられた。生ごみバケツとビン缶のごみを出す。午前中20数年ぶりに赤ちゃんをお風呂に入れる。4人も入れていたのに忘れるもんだ。私とつながっている小さな命を抱きしめる。
リフォーム屋さんに来てもらい、トイレをシャワートイレにして内装も一新することにした。お金が消えていくが、至福の空間をつくるつもりだ。
あれから1週間が過ぎた、もうずっと昔のことのような錯覚。
さて、あすから岩手・秋田。
みんなにあってまたおバカさん言って、大酒飲もうかな。温泉入って肩直そう。
今日の食卓は初さんま。刺身と塩焼き。大きくて脂がのっている。瓶ビールと器は冷やしてある。台風もきて断続的な雨と風。虫の音が響きわたる。秋を楽しむこころができている。
なにが幸せって、こういうことなんだろうなぁ。
2011年9月2日金曜日
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