2011年9月7日水曜日

硫黄匂の余韻

 手を顔に近づけると爪の間から硫黄の匂いがする。ワイルドな湯を堪能した。

 地上に降りてきた実感で、新幹線の車中でよだれが出るほどぐっすり眠りこけた。もう往きのときのような、体調不良による寒気は感じなかった。

 気温は10℃、標高1400m山小屋と錯覚するような温泉宿に投宿した。今朝は天候不良で、車を走らせれば数メートル先の視界も見えぬ。全国的には快晴とのことだったが、どうも私には雲の上とか頂上とかいうところには似合わないようだ。

 数日間のドライブを終えてみれば八幡平国立公園の秋田と岩手を一周して帰ってきた。あいにく天候には恵まれず、すばらしい眺望も星空もご来光にも巡り会えなかった。音を立てて降る夜の雨と、考えてもみなかった寒気に見舞われた。しかしながら、降る調子がくるくる変わる山の雨の中、野性的なあるいは個性的な露天風呂のある温泉を梯子し堪能できた。訪れた先ごとの湯の中に右足の古傷、傷めている右肩右腕にギンギンとくる効能を感じた。しばし命の洗濯を楽しみ下界に帰ってきた。

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