2010年2月20日土曜日

あたり前田の歩き方


 若いときはガニ股でいいかと思っていた。すっかりO脚だ。筋骨たくましいガニ股ではなく、単なるO脚だ。人生でなんの矯正の努力もして来んかった。
 実はここにきて、これがストレッチや骨盤調整とやらには具合が悪い。

 ちょっと調べてみんければわからんが、右手右足、左手左足を同時に出して歩くのが江戸時代あたりまでの日本人の姿だったらしい。今の右手と左足その逆のように交互に手足を出して歩くのは西洋人の歩き方なんだそうだ。この西洋式は身体をひねって歩く方式で足の外側に力が入ると。言われてみればそうだ、確かに私の靴の踵は外側が擦り減る。

 右手と右足、左手と左足を同時に出して歩くのを「ナンバ歩き」というのだそうだ。表彰式の壇上で「あがって」しまいぎこちない歩き方をしてしまうことがある。お芝居なんかでよく笑いをとるところで使われる、あれだ。ところがこれは「変な歩き方」や「可笑しな歩き方」ではなく日本人の伝統の歩き方であるらしい。たとえば相撲の摺り足、歌舞伎の六方、宮中にもあったような気がする。どんな字を充てるのだろうと検索すればどうやら「難場」と書くらしい。この歩き方によって山伏が例えば危険で狭隘な峡谷をも移動することができたのだという。

 ところで、足の指が開かない。私は人間がたくましく生きていけたころの形質を失いつつある過程のようだ。ミュータントに、より進化しつつあるような気がしている。どうりでひ弱だ。足指を閉じては五本指をかっ!と開く鍛錬が必要だ。

 それで、力を外側ではなく、親指と中指あたり、つまり足の内側に力を向ける生活をしたらどうかと紹介があった。つまり下駄履きの要領。そういえば、息子から昨年の父の日にもらったっきりしまっておいた。鼻緒をぎゅっと挟んで歩いていたころの日本人。私にはそれもできなくなっている。やっぱり「もやし型未来人」に向かいつつある。

 初めて「ナンバ歩き」を練習する。前にも後ろにも腰をまっすぐにして歩く。
 温故知新がありそうだ。

 以下、「ナンバ式骨体操」ホームページより引用
「ナンバ歩き」の「ナンバ」を漢字で書くと「難場=むつかしい場」と書きます。すなわち難所を歩く時の歩法でもあったわけです。江戸時代には、飛脚や山伏のような特殊な状況、あるいは条件で、長距離を歩かなくてはならない、いわば歩きの専門家がいました。飛脚はものすごい長距離を、山伏は険しい山道を歩かなくてはならないわけですから、体力やパワーをロスしない歩き方をしなければならなかった訳です。そのような状況では西洋式の身体を捻った歩き方ではなく、「捻らない」「うねらない」「踏ん張らない」歩き方である「ナンバ歩き」が不可欠だったのです。

0 件のコメント: