郷土の地理を習ったのは小学校4年のときだ。この授業が気に入って、鹿児島県の白地図は何も見ずに描けるほどになった。県には複雑な海岸線と島がいっぱいあるので変化に富む。
種子島は大隅半島の東南に平坦なひょうたんのように描き、屋久島はその西南にまあるく書く。奄美大島は三角に、加計呂麻島は三角形の底辺の下に長四角に描く。
種子島のちょこっと横にちび丸く入れるのが馬毛島(まげじま)だ。だから、このころから認識があった。
同じ県内にもかかわらず、初めて種子島を訪れたのは昨年の12月。仲間のみなさんと本場の本物シリーズ「沖ヶ浜田の黒糖」づくりを観に行く機会があってのことだ。早朝羽田を発ち鹿児島経由で空路種子島に入った。
うわさには聞いていたが、眼下に見る島の姿に度肝を抜かれた。これは島ではない。緑豊かな島らしい島の姿がない。十字にできた滑走路のようなものが見え、まるで不沈空母のようだ。砂茶色の地肌がむき出しになった十字路は明日にでも軍事基地に転用できると直感できた。これがまぎれもない噂に聞いた馬毛島だ。米軍の艦載機の離発着訓練地(NLPnight landing practice 夜間発着訓練)の候補地に、そして鳩山さんのときの普天間の代替地として徳之島に次いで候補地ではないかと取り上げられた島だ。
ここまで無残な姿になった南の島の姿に腹の底から怒りがこみあげてきた。
あれから、ずっと先のことだと思っていた再訪のときが近づいてきた。
その矢先に昨日次のようなニュースが配信された。
『<米軍再編>鹿児島・馬毛島で艦載機訓練 政府調整/毎日新聞 5月16日(月)2時30分配信
政府は15日、在日米軍再編で米軍厚木基地(神奈川県)から米軍岩国基地 (山口県)への空母艦載機部隊の移転に伴い、陸上空母離着陸訓練(FCLP) を鹿児島県・馬毛島(まげしま)(西之表市)で行う方向で調整に入った。将来的には、米軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)の航空機の訓練の一部を同島に移転することも視野に入れている。
6月下旬にも開く外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)での確認を目指す。ただ、「関係自治体との交渉はまったくできていない」(防衛省幹部)のが実情で、地元から反発が出る可能性が強い。
米軍は現在、FCLPを東京・硫黄島で行っている。06年の「再編実施のための日米ロードマップ」は、FCLPの実施場所を「09年7月またはその後のできるだけ早い時期に選定する」とし、馬毛島や広島県・大黒神島が検討されたが、深刻な騒音被害をもたらす夜間発着訓練(NLP)を含むため、地元の反対で頓挫していた。
防衛省関係者によると、今回の提案では自衛隊が施設を管理し米軍と共同使用する。地元の窓口を自衛隊にすることで、反発を緩和できないか検討している。
馬毛島は鹿児島県・種子島の西約12キロにある無人島。鳩山前政権では、普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の訓練移設先候補になった。同島のほぼ全域を所有する開発会社の社長が昨年11月、法人税法違反(脱税)の罪で起訴されている。』
「悲しみを乗り越えて、未来と希望」天の為す災害にこそそれは思うが、私は人の為す乱暴な自然の破壊にそれを思えない。それはこみあげてくる怒りだ。軍事基地、原発、最たるものだ。こんなものに幸はない。たちはだかる「国策」に人は口をつむぐ。奔流に呑み込まれまいとする。ならば、飛び上がりぶんぶんとみつばちのように羽音をあげよう。
2011年5月17日火曜日
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