2011年12月8日木曜日

果報者



「12月8日」私が生まれ育ったころは社会に特別の感慨があった。
我が家の暖房は石油ストーブと炬燵。一人の時、ストーブはめったに使わない。
昼間机に向かっていたら吐息が白くなっていた。明日は茨城でも雪になるらしい。

昨日の夜遅くだ。
日付が変わるころだったかな。
おとうさんできましたよと、ふいに声を掛けられた。
何が?と振り向くと、ほら、と。
たたたたっと寄ってきて背中にあてる。
おうOH!(もうできたのか)

まだカノジョだったころ初めて「手編み」をもらった。
マフラーに帽子、手袋にちょっき、どの順番だったか忘れた(全部とってある)。結ばれて、最初の子ができたときにもおくるみを編んでいた(どこにいったのだろう)。
子育てで多忙になって、いつのころからか遠ざかったのだと思う。

津波に呑まれて亡くなった老母の遺品の毛玉、色も年季もまちまちの毛糸。
考えてもみなかった出来事。
母親の遣り残しを引き継ぐように。
悲しみを紛らわすように。
編み物に没頭し始めた。
まちまちを応用してショール(汎用性があってなんにでも使える)が出来上がった。次は孫のフード付きセーターまで。
編み物楽しくなっちゃった、と。

私が長く愛用していたヘチマ襟のカーディガン。くつろぎのカーディガン。
現地で買ってきたお気に入り。アイスランド毛糸のアイスランド製。
袖が少し長くて、いつもひっぱりあげていた。
年月を経てそれで袖に穴があいてきて、それがいよいよひろがってきた。
機能が同じようなセーターをデパートに行って二人でみてみた。
2万円近い値札。
「おとうさん編むよ」というから、急きょデパートを出て本屋さんと毛糸屋さんに。
失敗するかもしれないからと手ごろな毛糸玉で20玉。色柄はちょうどいいと思われる。それに太編み用の編み棒を買い求めた。
好きなことは夢中になれる。なんだかあっという間だったように見える。
「あれっ、ボタンどうしたの?」と訊いたら、「これっ。」
アイスランドのカーディガンのボタンの再利用。
よかった、ぴったしだね。

きっかけは母親の遺品、そして捨てるにもただでは捨てられなかった私のお気に入り。いわばそれらの「遺伝子を繋いだ」形になったのもうれしい。

とても暖かいもの。
ふふふふ、世界にふたつとないもの。

あのころは、○○くんできたよってわたされたな。
つぎは「おじいさんや、できましたよ」って言われるようになるのかな。

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