「月と6ペンス」ならかっこよさそうな小説だが、「月とスッポン」ではサマにならない。これまでによく見聞をし、深く考え、芯をつくり、世間を渡り合ってきているので昨夜の二人が月、こちとら右顧左眄、それを見上げるスッポンだ。社会的実力が違う。
「平行線」を定規で引いたようだった。何かの間違いで少し角度が内側に違っていてくれればと願ってもみたが、何の虚実もないそのまま絵に描いたような平行線だった。こちとら口をあんぐり。
同じ池袋発だとしても、丸の内線と有楽町線は乗り場が離れている。引っ越してきたころはよく乗り間違えた。もっと大きな違いは行き先の方向だ。一方はブーメランのように還って来てはすぐそこの新宿を越す。もう一方はまっすぐ東京のはずれ新木場に行く、乗り換えればそのもっと先まで行く。ところが両路線とも実は銀座付近で交差はする。そうなのに直接乗り換えることはできない。だから、銀座あたりで降りて駅を出て乗り換えなければならない。
以前から二人のそれぞれの知見についていけない。ああ言われればそう思うし、こう言われればそうも思う。難しい知識の山のことはわからない。
かねて聞いてはいたが、違いがよくわかった。たいしたものだ、おもねるところもない。行き先が違う。起点が一緒で、しかも交差するのに。こっちを向いて話すのなら、面と向かって口角泡を飛ばすまで話してほしいなと考えた。若かったときとは、もう違うか。帰り際に訊いてみたら、一方は面白かったと言っている。
酔って銀座で放り出されれば迷子になりかねない。丸の内線に乗ろうかそれとも有楽町線にしようか。いや、山手線にしよう、ぐるぐる回れる。
ザッツ東京、九州から出てきたらやっぱ、銀座、六本木。友達はそこ案内してほしいっていいますよ。高円寺、吉祥寺っていわれても、それが‘通’ってわかんないっす。東京2年目の二男の彼女はそういう。東京に出てきても行きたいところは人によっても生まれによっても違う。
さて、月はどっちに出ている?三日月だ。
2009年12月23日水曜日
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